備忘録

遺書代わり

自殺未遂

本当にこけた傷もあるけれど、手にある大きな傷は、死のうと思って歩道橋から飛び降りたときの傷なんだ。誰にも言えてないけれど。

 

 

アルコールと睡眠導入剤を同時に飲む悪癖を控えることができた俺は、代わりに薬を飲んで意識を朦朧とさせたまま夜の街を散歩する悪癖がついた。その日も朦朧としながら歩いていて、さらにアルコールを少しだけ飲んでいたのがいけなかった。歩道橋を歩いているときにふと、ここから飛び降りたら死ねるかなと思ってしまった。意識がはっきりしないまま変に楽しくなって歩道橋の階段の踊り場(?)の手すりの上に登った。

 

2,3階くらいの高さしかないから、よく考えるとそんな高さから死ねるわけがないんだけど、朦朧とした頭では正常な判断は下せなかった。手すりに登ったあたりで怖くなって辞めようと思った。足を滑らせた。思わず左手で歩道橋をつかんだ。力は入らずそのまま右半身を下にして車道に落ちた。幸いか、不幸なことにか、車は通らずそれ以上怪我は増えなかったけれど、下敷きになった右半身は擦り傷だらけになった。右手は特に目立つ怪我になってしまったな。痛みがなんだか生きている実感をくれるというのは本当なんだな。

 

 

すすり泣く母。病院の窓からぬるい風が撫ぜる。ちょっとした怪我だけだったからすぐに退院になった。家族の手前、酔っ払ってただけで、運が良かったんだと悪びれて笑った。

申し訳無い気持ちでいっぱいだけど、後悔も強い。

 

 

 

それは決して間違ったことをしたという後悔ではなく、なんでもっと高くから…なんで怖がってしまったんだ…なんで膝と腕を下敷きにしてしまったんだ…といった死に損なったことに対する後悔だ。ちゃんと死ねればあんなに悲しんでいる姿を見ることもなかったのにな。

 

申し訳ない気持ちがいっぱいになると、頭の中で「申し訳ないと思うなら、死ねよ」って声が脳内で鳴り止まない。

 

 

 

 

今度こそちゃんと。

鳥になりたくて、屋上から飛ぶ。