備忘録

遺書代わり

台湾紀行記終幕

グレートインナージャーニーの旅路の果て。

「虐げられた人間が、自殺するか、社会に怒りを向けるかって、自分を好きかどうかだと思う。」

どこかのアーティストがインタビューで言っていたこのセリフが途轍もなく刺さる。あぁでも俺は借り物の言葉ばっかりだな。尽きない表現欲に能力が追い付かなくて情けない。言葉が足りない悲しさと、自分が思うこと感じることなんて、とっくに誰かが表現しきっているという情けなさもあふれてくる。

 

 

久しぶりに目覚ましをしばらく聞いてから起きた。かなり疲れは溜まっているようだ。中途覚醒は相変わらずひどい。相まって嫌な夢も多い。気怠い身体を無理やり起こし準備をする。

意味ばっかり求めるから、意味のないことを気にしすぎてしまうのかもな。意味なんてないよ、って言い切れたらな。

 

荷物をまとめて部屋を出る。チェックアウトのために受付に行くと、1日目部屋に案内してくれたお姉さんがいた。ものすごい笑顔で「ハロー!」と手を振ってくる。すごい癒されるな。こちらも嬉しくなって手を振り返した。優しさには優しさで返そう。拙い日本語で一生懸命説明してくれる、1週間という言葉が上手く言えなかったのか忘れてしまったのか言葉に詰まったが、受付の別のお姉さん含めて3人でケタケタ笑い合った。

 

 

少しだけ歩いて直行の電車に乗って空港へ向かう。雰囲気は成田エアポートラインとそっくりで、ただ座席脇に携帯の充電器がついててそれは本当にすごいなと思った。車内Wi-Fiもあるし。隣のおじさんの貧乏ゆすりに耐えながら40分弱電車に揺られた。グッバイ台北

f:id:bass871:20180323175016j:image

f:id:bass871:20180323175029j:image

 

 

空港に着くとすぐにチェックインを済ませた。機械でできないみたいでお姉さんに聞いて列に並んでチェックインと荷物を預けるのを済ませる。

飛行機の時間が微妙だからご飯が出ない可能性があると思い先に食べる。一瞬バーガーキングに心を揺さぶられたけど冷静になった。台湾料理でちゃんとフィニッシュ。

f:id:bass871:20180323193207j:image

 

 

飛行機の中ではのんびりと映画を眺めながら本を読んだ。コンビニ人間を読んでいた。最初はなんとなく無味で淡々とした文章が続くが途中から狂気的になっていく流れに引き込まれた。「人間は人間を裁くのが趣味」というセリフだけはこびりついてしまった。人は自分を棚に上げて人を断罪してしまうもんな。いつだって◯◯は△△だから、と言って名前を付けたがる。

横のオシャレな女の子は傍目ではアメトーークとかお笑い番組を見ていた。

 

機内食が出てびっくりしたが美味しくて完食してしまった。機内でビールを2本空けて少し酔ってしまった。感覚と気分のズレがあることを自認し始めたので、なんとなく今日は眠れなさそうだから今晩は薬を飲んで寝ようと決めた。

f:id:bass871:20180323193211j:image

 

飛行機を降りて荷物を受け取り入国審査と税関を通る。地下鉄の方へ向かったが、台湾ドルのままであることを思い出して両替。レートが下がっていて損した気分になって別の日に両替に来れば良かったと思った。こうやってFXにハマっていくんだろうな。

 

京成線に乗り込み一息つく。あぁ帰ってきてしまったんだなあ。クソみたいにくだらない日常に。肌触りの悪い地下の風を浴びながら、お酒を飲みたい、と思った。

だらだらと2時間弱電車に揺られて最寄りに着く。最寄りに着いてしまったなあ。あぁ月並みだが、日本は寒いな、と思った。

 

ちなみに台湾で回ったところはこのピンクのマークのところだ。黄色はホテルの位置。九份や淡水や猫空は入ってないけど。

f:id:bass871:20180324003422j:image

 

 

 

自分探しの旅に出るとか、海外旅行をして人生観が変わった、とかそんな陳腐で月並みなことは言いたくないけど、それでもこの旅行に意味はあったと胸を張って言える。日本どころか部屋から出るのすら億劫だった自分が次はどこへ行こうか考えてるのだから、きっと、意味はあった。

少なくとも「海外で自分が見つかるわけないでしょ」と一蹴できなくなったし、暗い部屋の隅で膝を抱えて丸まってるよりかはきっと意味はあった。

 

 

「ありがとう」の数が増えた気がする。

悪いことじゃないんだけど、なんだか自分のことながら嫌な予感がする。

 

 

頭がいたいや。今日は早く寝よう。

あぁ頭がいたい。誰か。

 

 

 

 

 

 

 

俺は心を通わせる相手が欲しいと思っていたけど、どこまでも一緒に逃げ続けてくれる共犯者が欲しいだけかもしれないと思った。