備忘録

遺書代わり

台湾紀行記⑨

小山田壮平が青い空という曲の中で「吐き気のするあの顔を大事な人の中に見て色々と嫌になり」という歌詞を歌っている。自分の好きなひとたちが、自分がして欲しくないと思っていることをしたり、もっと言えば軽蔑するようなことをしているときの失望感というのは途方もなく大きい。あぁひとえに人に期待し過ぎなんだろうな。それでも期待してしまうあたり、俺は実は人間が好きなんだろうな。

 

5日目。朝。連日の疲労がたたったのかなかなか起きられず10時近くまで寝ていた。でも相変わらず中途覚醒はひどくて、何度も夜中に目を覚ましてしまう。ブランチがてら京鼎樓に行く。ここは日本にも支店があるくらい有名なところらしいが、そろそろちゃんとしたご飯を食べなきゃと思って向かった。11時くらいだったのに既に行列ができていた。

さすが有名店だけあって日本語のできる店員がいて日本語のメニューがあって1ミリも困らなかった。たまには何も考えず食えるところもいい。

脳みそフル回転させなきゃ飯にありつけないところと、脳が思考停止しても美味い飯にありつける店を交互に来てて脳がバグりそうだ。

 

小籠包と、食べたくなった海老麺というメニューと、台湾ビールを頼んだ。

どうせ瓶ビールで来るんだろ!と思ったら案の定600ml瓶で来やがった。飲んでやるよ。こんな午前中からビール飲んでるの俺だけだったな。

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ここの小籠包は甘くて美味しい。個人的には京鼎小館の次に美味い。海老麺は底に麺が沈んでるから写真では見えないが麺が多い。最初は味が薄いかな?と思っていたが、途中から病みつきになり一瞬で食べ尽くしてしまった。

 

 

そのまま20分ほどぶらぶら歩く。大通りは賑わっているけど路地に入ると薄暗い。そんなアンバランスさが共存している台北は好きだ。

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地図を頼りに行きたかったドリンクスタンド、丸作食茶へ。店舗はこじんまりしているが安くタピオカミルクが飲める。今までそんなひタピオカを好んで食べたことなかったけど、このタピオカはもきゅもきゅしてて美味しかったな。ドリンクスタンド外れなし。

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そしてそのまま明月湯包という小籠包屋へ。また小籠包?と自分でも思うが調べていたので行かずにはおれない。行かずに後悔より吐いて後悔だ。

店構えを一瞥して絶対美味いと確信した。日本でもたまにある「街の美味しい中華屋さん」の雰囲気を放っている。観光客はおらず、地元の人たちが楽しそうに食べている。一応メニューには日本語もついていたが、店員さんはほぼ喋れず英語で会話した。お腹に余裕があれば色々食べたいのになあ。

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ここの小籠包は皮が固めで代わりにジューシーで味が濃い。黒酢と醤油と生姜に絡めて食べる台湾の小籠包の中でも、それらに負けない味の濃さを放っていて本当に美味しかった。

腹ごしらえも済んだのでとうとう猫空へ。

 

 

終点の動物園駅という駅を降りてゴンドラに乗り換えるらしい。

入場するつもりはなかったが、どうせならと動物園を見に行ってみた。地図を見た感じめちゃくちゃ広い。台北郊外の山林だらけのここにある動物園はその自然を利用した大規模な動物園で、日本統治時代からある古く伝統のある動物園らしい。しかも60台湾ドル(≒250円)で見れるという破格の安さ。

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ちなみに台湾ドル=元 である。

基本的には元で表記されているが、観光客の多いところやハイソなところはNT $と表記されている。最初は通貨2種類持つ必要あるのかと思ってビビった。

 

 

 

電車は2,30元くらいが基本なのにゴンドラは120元もしてびっくりした。だけど乗ってみると納得。スキー場の麓から頂上に行くくらいの感覚でいたが、そんなことはなく、かなりの距離を行く。2,30分くらい乗ってたかな。

面白いのがこの間に何度も山の峰を下ったり登ったりするのだ。しまいには90度回ったときはびっくりしたな。

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頂上の猫空駅に着いてみた。意外と殺風景である。あれぇおかしいなあと思ってぶらぶらして地図を見てみる。

どうやら山の各所に寺や茶藝館が点在しているらしい。なるほど。

 

タクシーやバスを使って回るか、ガチの山ハイキングをしながら楽しむのが基本みたいだ。バスやタクシーを何度も乗り降りするお金はさすがにないし、「足が棒になった」を体現するか如く疲れ果てた足では2,3時間の山道ハイキングが耐えられそうになかった。

とりあえず地図を見て歩いて行けそうな距離にある寺と茶藝館を嗜むことにした。

 

 

てくてく歩いて行くとアラブ系ぽい人に英語で話しかけられた。どこに向かっているんだ?と聞かれて、自分もなんとなく地図を見て寺がありそうだから向かっているだけと伝えようとしたが上手く言葉が出ない。

英語が分からないと思われたのか、英語はできるか?と聞かれ、正直に「a little」と。

何があるんだ?とまた聞かれ、I don't knowと、first time visitであることを伝えた。

 

じゃあ何でそっちに歩いて行くんだ?と聞かれたので返答に困り、そこでiPhoneの地図アプリを開いて見せた。ここに向かっているよと指差すと、もちろん向こうは漢字がわからないようで「temple?」と聞いてくる。「イェアテンポー」と答えると、歩いてどれくらいか聞かれる。地図にガイドさせると3分と出たのでスリーミニッツと伝えると喜んでくれた。

近くの茶藝館も良かった。ちょっと高いけど。

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猫空を降りて街に繰り出す。後半へ。

 

 

 

最近は引越しが近いせいか、アジカンソラニンをよく聞くようになった。82周ほど回って胸を張って好きだと言えるようになってきた。

浅野いにおにしか出せない繊細な歌詞はなんだかんだいい。

 

 

思い違いは空のかなた
さよならだけの人生か
ほんの少しの未来は見えたのに
さよならなんだ

 

 

君に言われた ひどい言葉も
無駄な気がした毎日も

 

 

 

さよならだけの人生か。

 

さよならだけの人生なんだなあ。