備忘録

遺書代わり

台湾紀行記⑦

ディズニーランドが麻薬と同じなら、幸福こそが人を狂わせるのかもしれない。

人は欲深いからな。

 

雑なベッドメイキングとお湯の出にくさに愛着が持ててくる4日目。手先が真っ赤ですっかり日焼けしたなぁと思う。相変わらず目覚めしの直前に起きるスタンド能力が発動したけど、さすがに疲れが溜まっていたのか寝起きが悪かった。ごめんよ。天気は曇りのち晴れ。今日は5年越しの想いが叶う。

いざ九份へ。

 

さっさと電車に乗ろうと思っていたら風が気持ちよく、風に誘われるままにフラフラと台北中心部をぶらついた。BGMはyuckとWilco。爽やかな朝に似合う。

雲の切れ間の太陽はときどき理由なく溢れる優しい気持ちに似ている。

サフラン色のタクシーは今日も鉛色の空とがらんどうの街を鮮やかに染め上げる。

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地下に潜って地球の歩き方のページを指差してICカードをなんとか購入。これなかったら野垂れ死んでる自信があるな。受付のお姉さんにスリーハンドレッドダーラー、トップアップ?ときいて300ドルチャージした。バスが結構長い時間乗るみたいで不安だったから先に腹ごしらえをすることにした。

昨夜行けなかった點水樓。もう見た目からここは結構高級店だな、と思った。いろんな種類の小籠包があるというのがウリでそれと台湾ビールを頼んだ。だからなんで瓶ビールで出てくんだ!午前中からこんな飲めねえよ。飲んだけど。小籠包を頬張っていると店員のおばさんに笑われた。

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真ん中のやつが辛すぎたから絶対に許さない。

最終的に普通の小籠包が1番美味しい気がする。というか辛いやつが辛すぎて味覚が完全に麻痺ったな。

若干の尿意と喉の渇きを感じながらも時間がなかったのでバスに乗った。

ハイウェイをぐいぐいと進んでいく。一気に自然に囲まれた田舎町に出る。分厚い雲は感傷に蓋をするみたいで嫌いじゃない。

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1時間と20分ほどバスにゆらゆら揺られて九份に着いた。寒い!歩いてると大丈夫だったけど着いたばっかりは寒くてびっくりした。台湾に来て初めて寒いという感情が生まれた。綺麗な景色を眺めてあったかい紅茶を飲んだあと九份の路地に入っていった。

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あんまりお腹が空いてなかったからゆっくり散策したあと食べ歩きしようかなと思っているとめちゃくちゃ広いことに気づいた。しかも甘くていい匂いがしたから思わず立ち寄る。なんだろうか。たい焼きとかどら焼きに近い感じがした。

 

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もう4日目になってくると

「キャナイゲットディス?」

「クリーム?」

「イェア、クリーム」

「ワン?」

「ワン、ハウマッチ?」

「タンピー(たぶんトウェンティって言いたいんだと思う)」

「オーケー、シェシェ」

みたいに自然に買い物できるようになってくる。高校の英語教諭がだいたいの動詞はgetかtakeかhaveで代用できると言っていたけどマジなんだろうな。

 

 

そのまま歩いているとまた美味しそうな匂いに誘われてラーメン屋ぽいところに、相変わらず漢字のメニューが読めないから適当に頼んだけど、これめっちゃ美味い!お腹いっぱいだなあと思ってると蒸し餃子が美味しそうなお店が………ここは太る街だ。

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名産品のタロイモ団子を食べる胃のキャパがなくなったので、地球の歩き方リコメンドの阿妹茶樓に。ここがいわゆる九份ぽいところみたい。オープンテラス席に座って茶菓子とお茶を飲む。かなり高いところにあるから結構風が強くて笑った。景色はめちゃんこ良いんだけどね。茶葉からお茶を汲む作法を習って飲む。お茶が香ばしくてめちゃうま。足元にやかんがあって自分でがんがん汲んでいく。本気出したら20杯くらいお茶飲めるなここ。

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1時間くらいゆっくりしていると周りにお客さんが増えてきた。残念なことにほとんどが日本人だ。カタコトの日本語で必死に説明してくれる店員を笑うのは良くないと思うぞ。好きな場所だったけどなんだか居心地の悪さを感じて外に出た。抱きすくめた女の子の髪からタバコの匂いがしたときの気持ちと似ている。

 

現地のオプショナルツアーの観光客も増えてきたみたいで人通りが増してきた。少し人疲れしたから下の車道をぶらぶらしてみた。道中展望台がありゆっくりタバコを吸った。こういうところで吸うタバコは甘い蜜だ。

 

もう一度街をぶらぶらしているとベビーカステラの文字が。ベビーカステララバーなので食べずにはいられない。台湾のベビーカステラはこんな感じで固まっている。パリパリ感が強く、甘さは控えめで食べやすくて美味しい。

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暮れてゆく夕凪に包まれる頃にはもう狭い道は身動き取りづらいくらい人がいっぱいになってきた。どこにいたって太陽の役目が終わる夕暮れ時が1番綺麗だ。

オレンジジュースみたいな海と、どっか行っちゃう太陽。

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日の暮れと同時くらいにバスに乗る。

台北中心部に帰ってきたら今日も夜市へと繰り出す。夜のハイウェイは感傷をくすぐる。

夜市レビューは後半へ。夜を練り歩く。

 

 

 

帰りのバスでキリンジのDrifterの原田郁子カバーを聞いていたら泣きそうになった。

やっぱいい曲だなあ。

 

 

みんな愛の歌に背突かれて
与えるより多く奪ってしまうんだ