台湾紀行記⑤
遠い遠いところへ行ってしまうから、もう二度と会わない人がほとんどだろう。
この半年間は人と会うたびに、これで最後かもしれないと思いながら過ごしてきた。
最後に傷付けたりしないように言葉に気をつけながら。どうか心身ともに健康であってくれよ。
3日目。週刊天気予報で今日だけ雨が降ると聞いていたから遠出をせず市内をぐるぐる見て回ろうと決めていた。雨季にさしかかる台湾で今日しか降らないのはかなり運がいいのかも。雨だから一眼カメラは今日はお留守番。今日の思い出は全て携帯に託す。
まずは現地の人もオススメしてきた龍山寺へ向かうことにした。西から東へ向かっていくイメージで動こうかな。出るのをかなり遅めにして9時半に出たけどまだまだ街は眠ってる。
昨朝「牛乳大王ってなんやねん!笑」と思ってスルーしていたお店が、地球の歩き方先生によるとまぁまぁ有名なドリンクスタンドだと聞いて立ち寄った。ファンシーなドトールみたいな感じ。ブレックファーストにキウイミルクとサンドイッチを食べる。サンドイッチにリンゴが挟まっているのは結構珍しいのではなかろうか。
西門駅はかなり大きかった。街へ出ると雨は上がっていた。渋谷や原宿のような若者の街で文化の発祥地と書いてあったが、たしかに有名な若者ブランド店も多く街も活気がある。近くに台湾に行った人が百発百中でおすすめしてくる阿宗麺線があったが牛乳大王でお腹がいっぱいだったので先に龍山寺へ向かった。
紅樓などの道中の景色も楽しみながら龍山寺に着くと死ぬほど人が多かった。
おそらく観光地としてセルアウトしきっていて観光客でごった返していた。東京でいう浅草寺に近い。半分くらい日本人だったんじゃないかな。
参拝のルールがややこしくよくわからないままぐるぐるしていると、赤い石を投げておみくじ(?)を引いてまた石を投げ、という行為を繰り返している人たちがいた。どうやらおみくじを引く作法らしい。
見よう見まねでやってみようとしたがよく分からない。日本人の団体にカタコトの日本語で説明しているおじさんがいたから少し聞いていたが途中からでよく分からなかったのと、盗み聞きしている気分になってやめた。ここは21世紀の旅のお供、google先生に頼ることにした。
どうやら石を2つ投げて表と裏が出たらおみくじを引いていいらしく、引いたあともう一度投げて表と裏が出たら書かれた番号の紙を取り出していいらしい。3連続表表とか裏裏になるとそもそもおみくじ引けないらしい。なかなか観光客に厳しい。
日本語ばかり聞こえる寺に嫌気がさし、寺を出て西門町に戻った。雨が降り始めた。
阿宗麺線を食べてみたが、昨日の阿輝麺線と何が違うんだ!と思ったら中の具が違うのか!昨日のはスジ肉みたいなので、こっちは貝みたいなの。魚介ラーメンと豚骨ラーメンみたいなもんかな。味はフカヒレスープと春雨スープを足したような感じ。美味しすぎる。これが200円くらいってのが最高。
ぶらぶら散策していると確かに若者の町だったが、渋谷や原宿ほどハイソサエティーではなくて、もっとローファイというかアングラな感じがした。京都の新京極とか大阪のアメ村の方が近いかな。写真だと少なそうに見えるが人通りは結構多い。
帰り道にレストランの受付をしていたお姉さんがチャイナドレス(台湾ドレス?)着ていて可愛かったから、キャナイテイクユアフォト?と聞いて写真を撮らせてもらった。「me???」と照れ臭そうにしていた。
商店街の中に急にあった厳かなお寺。写真大丈夫かな?飲み物飲みながらで大丈夫かな?て思ってたら中でテレビ局がガンガン飲み食いしてて笑った。
雨も強くなってきたから電車に乗って中正紀念堂へ。
受付のおじさんに地球の歩き方に載ってるのを指差して、アイウォントゥバイディスと言って、ようやく24時間乗り放題切符を買えたからもう無敵だ。
BGMはくるり、ハイウェイ。
カラッと晴れた日ならandymoriだが、曇天にはくるりのバラードが合う。
僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって
ひとつめはここじゃどうも息も詰まりそうになった
ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること
みっつめは車の免許とってもいいかな
なんて思っていること